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KOBE UNIVERSITY — SCIENCE

神戸大学(理系)数学
10ヵ年 分野別分析

2017〜2026年の前期日程(試験時間120分/記述式5題)について、各問題の出題分野を30pt満点で按分集計し、神大数学の出題傾向を可視化した。全問を実際に解いた上で分野を判定している。

まとめ

神大数学は「微積一強・分野総合型」。微分・積分が10年で34.3%と圧倒的シェアを占め、5題中2題は必ず微積系という構成が定着している。残り4分野(数列・空間ベクトル・確率・式と曲線)を合わせて約37%、計7割が「微積+4本柱」で占められる。

数列(12.0%)は神大の伝統分野。漸化式を立てて一般項を求める典型題に加え、無限等比級数・極限との融合が多い。2023の区分関数による漸化式、2022の√(aₙ₊₁aₙ)、2025の√(n²+1)-nの小数部分など、計算ではなく「論証で一般項を確定させる」タイプが頻出。

空間ベクトル(9.0%)確率(8.3%)もコンスタントに出題。空間ベクトルは四面体・正四面体・直方体を題材にした内積計算・体積計算が定番。確率はサイコロ系が多く、整数(約数・剰余)との融合がしばしば見られる。

式と曲線(8.0%)の比率も注目に値する。媒介変数表示された曲線の概形描画と面積計算が頻出で、2017・2019・2021・2023・2025とほぼ隔年で出題。神大特有の出題枠と言ってよい。

難易度は標準〜やや難。誘導が丁寧で、(1)(2)で部品を組み立て、(3)で本題を解かせる教科書的な小問構成。2完2半で合格圏、3完で安全圏。各問題の(1)を確実に取りに行く堅実な戦い方が有効。

※ 配点は1問30pt(10年×5題=1500pt満点)。融合問題は内容に応じて按分。例えば確率と整数の融合は20/10で計上。点ではなくpt表記としているのは入試本番の配点と区別するため。

分野別 出題傾向表

分野 割合 合計 20262025202420232022 20212020201920182017

※ 色凡例:25%以上 20〜25% 15〜20% 10〜15% 5〜10% 数値は配点(1問=30pt換算)。

特徴と対策

出題形式 大問5題・120分(24分/題)。1題あたり小問(1)〜(3)程度の構成で、誘導が丁寧。前小問の結果を素直に次小問で使う設計が多く、解答の道筋を見つけやすい。一方で、計算量が多く時間配分を誤ると完答困難。記述式で、答案の論理展開が採点対象。
難易度 標準〜やや難。旧帝大に準ずる位置づけで、東大・京大・阪大ほどの難問は出ないが、典型解法を理解せず暗記で済ませた受験生は途中で詰まる作り。2完2半で合格圏、3完で上位、4完で安全圏。極端な難問・奇問は少なく、堅実に得点を積み上げる勝負。
出題意図 神大の出題傾向から読み取れる3つの評価軸:
基本〜標準典型題の確実な処理力 — 教科書例題・章末問題の延長で解ける小問を必ず配置
計算力 — 数Ⅲの積分計算(部分積分・置換積分)、ベクトル成分計算など、地道な計算を完遂する力
論証力 — 「示せ」「証明せよ」の小問が毎年複数。等式・不等式の証明、数学的帰納法の運用を要求

分野別ポイント

微分・積分 34.3% 10年で圧倒的最大シェア。神大数学を制するには微積を制する必要がある。
面積計算(2015の双曲線と直線、2023の媒介変数曲線、2026のsin(logx)cos(logx))、回転体の体積(2018・2020・2024)、定積分の計算(2021)、極値と接線(2019・2025)、定積分で表された関数(2024・2026)など、あらゆる微積分野が満遍なく
特に部分積分・置換積分の応用力媒介変数表示曲線の面積計算は神大の十八番。2026の∫f(t)sin(x-t)dtの微分や2024のtan置換は基本中の基本として身につけたい。
数列 12.0% 神大の第2の柱。漸化式から一般項を求める計算問題に加え、論証を求める出題が多い
2023「漸化式と区分関数」、2022「aₙ₊₂=√(aₙ₊₁aₙ)と無限等比級数」、2020「xₙ₊₁=|2xₙ-1|の周期性」、2025「√(n²+1)-nの小数部分と論証」、2019「周期数列1,3,4の和と平方数」など、「数列の性質を発見し、論証で確定させる」型が特徴的。
数学的帰納法を使いこなす訓練が必須。特性方程式・階差・等比型の漸化式は瞬時に処理できるように。
空間ベクトル 9.0% 四面体・正四面体・直方体を題材にした内積計算と体積計算が定番。
2018「正四面体OABCの内分点でできる三角形PQRの面積」、2023「四面体OABCの体積と垂線の足」、2024「直方体ABCD-EFGHの3軸回りの回転体」、2025「3点A,B,Pが同一直線上にない条件と三角形面積最小」、2016「四面体OABCと平面PQRの交点」が代表例。
ベクトルの一次独立性を使った係数比較、平面の方程式、垂線の足の計算を完璧に。
確率 8.3% サイコロ系が圧倒的多数で、漸化式融合は意外と少なく、むしろ整数(約数・剰余)との融合が顕著。
2026「サイコロ3回、多項式の割り算の余り」、2024「サイコロを3回投げて積が160の約数」、2019「2個のサイコロの積をnで割った余り」、2018「サイコロ3回、x²-ax+b=0の整数解」、2017「正四面体サイコロと頂点移動」が代表例。
条件付き確率や反復試行よりも、場合分けの丁寧さと整数論的考察が問われる。
式と曲線 8.0% 神大の出題枠が明確に確保されている分野。媒介変数表示曲線の概形・面積・接線が定番。
2017「動点P・Qの軌跡(トロコイド)」、2019「x=sint, y=(1+cost)sint」、2021「x=(4+5cost)/(5+4cost), y=3sint/(5+4cost)」、2022「双曲線と直線の軌跡」、2023「x=sint, y=cos(t-π/6)sint」、2025「ハート型曲線 x=sinθ, y=cosθ+|sinθ|」と、2年に1回は登場する指定席
dx/dθ・dy/dθの符号変化を増減表で整理し、概形を正確に描く訓練を。
方程式・
式と証明
5.3%
解と係数の関係、整式の除法、判別式が単独でも融合でも出る。
2023「整式 f(x)=x²+ax+b の2解の実部の条件」、2026「f(x)=2x³+ax²+3x+b を g(x)=x²+cx+1 で割った余り」、2018「x²-ax+b=0の整数解」、2021「放物線と直線の共有点A,B,Oを通る円」が代表例。判別式と解と係数の関係は反射的に出せるレベルへ。
整数 5.0% 単独大問は少なく確率・複素数との融合が中心。約数・倍数、剰余類、合同式、平方数の論証が頻出。
2026「m=|z²|の整数論」、2025「a_m+b_n≠1の論証」、2024「160の約数」、2022「素数pと自然数m,nの関係」、2021「(2+i)ⁿの虚部の10で割った余り」、2019「Sₙ=k²の存在」が代表例。
mod計算、平方数の偶奇、互いに素の論証は確実に。
複素数平面 4.7% 3次・高次方程式の解、|z|の図形的意味、整数論との融合が多い。
2026「m=|z²|となる複素数zの条件と性質P」、2026の大問5「複素数αが(1+r²)α²-2α+1=0をみたす軌跡」、2021「(2+i)ⁿの計算」、2018「3次方程式の複素数解と複素平面上の三角形面積」が代表例。
実部・虚部分離、極形式、ド・モアブルを的確に使い分けたい。
平面ベクトル 4.0% 単独出題は2019・2021の2回のみだが、どちらも単独大問。
2019「|AB|=2の三角形PABの重心G、内積条件と最大角」、2021「2つのベクトルa, bが垂直、a+bとa+3bのなす角の最大値」が代表例。
内積の幾何的意味、相加相乗平均、三角関数との連動が頻出。単独枠は1問だが侮れない。
極限 3.0% 数列・関数の道具として登場するのが基本で単独大問は無い。2022「無限等比級数の和」、2020「sinx/xのn→∞での挙動」、2017「項間の不等式と極限」など。はさみうちの原理、ロピタルに頼らない極限計算を確実に。
三角関数 2.3% 単独出題はほぼ無く、図形・微積・複素数の道具として使われるのが基本。2022の正m角形に内接する円(三角形と図形)、2020の内接円の半径(sin・cos)、2017の動点の軌跡(三角関数の合成)など。加法定理・倍角・正弦定理・余弦定理は反射的に出せるレベルへ。
指数・対数 2.0% 単独より数列・整数との融合が中心。2024「bₙ=log₂aₙと漸化式」、2022「aˣ=bʸ=(ab)ᶻ から 1/x+1/y=1/z を示す」が代表例。対数の底の変換、指数法則を正確に運用。
場合の数 2.0% 単独出題は2020の「和が30になる順列・組合せ」のみ。重複組合せ、対称性を利用した数え上げが基本。確率の前提分野として必須。

傾向の変化(直近)

2025年:大問1が|x³-x|と直線の共有点(微積)、大問3でハート型曲線(式と曲線+微積)、大問4で空間ベクトル(3点が同一直線上にない条件と面積最小)、大問5で曲線の長さ(微積)。典型題中心で標準的な難易度

2026年:大問1でサイコロと多項式の割り算の余り(確率)、大問2でsin(logx)cos(logx)の面積(微積)、大問3でm=|z²|の整数論(複素数+整数)、大問4で∫f(t)sin(x-t)dt(微積)、大問5で(1+r²)α²-2α+1=0の軌跡と三角形面積最大(複素数+微積)。微積3題+複素数2題という珍しい構成で、複素数平面の比重が増加。

※ 2022年新課程移行の影響:従来の数Ⅲ「式と曲線」が数Cに移行し、複素数平面も数Cに統合された。神大は新課程後も微積一強の構成は不変で、むしろ式と曲線・複素数平面の出題枠が安定的に確保されるようになった。2026年に複素数2題が出たことは、今後の出題傾向を占う上で注目に値する。

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